中韓連携の裏事情

安岡久遠のブログより


中韓連携の裏事情』

 

アベノミクスによる円安・ウォン高によって韓国経済が悪化の一途を辿っています。韓国の主要決済通貨はドルですから、円安は直接的な影響を及ぼすものではありません。現にウォンはドルに対して極端に高くなっているわけではありません。ただ、韓国の主要輸出製品は自動車、電化製品といった日本と競合する分野が多いので、円安によって日本メーカーが価格を下げることができる分、相対的に不利益を被るという図式になっているのです。

 

逆に言えば、この数年間、円高・ウォン安によって韓国製品がどれだけ価格競争で優位に立っていたかということです。特に、パナソニックソニー、シャープといった家電メーカーは軒並み巨額の赤字を余儀なくされ、シャープは倒産寸前まで追い込まれていました。

 

アベノミクスによって、日本の輸出産業が息を吹き返す裏で、今度は韓国が青色吐息になっているということなのですが、しかしここ数年我が世の春を謳歌し、『韓国は日本を超えた。もう日本から学ぶことは無くなった』と豪語していた韓国が、円安になって数ヶ月でもう悲鳴を上げているのですから、その脆弱さは目を覆うばかりです。よくもまあ『日本を凌駕した』などと吹聴できたものです。為替には5年周期のトレンドがありますので、日本がこの5年、異常な円高に耐えてきたことから言えば、韓国の地獄はここからは本番と言えるでしょう。

 

韓国当局の試算による、と韓国輸出中小企業の損益分岐点の為替レートが、

100円=1343ウォン

だそうです。対して為替レートは、

100円=1100ウォン台

まで円安、ウォン高にまでなっていますから、すでに損益分岐点を切ったということになります。円はドルに対して年内には1ドル=105〜110円ぐらいまで安くなるというのが多方の見解ですので、関連してさらにウォン高に移行すると思われます。

 

さて、韓国にとって確かに円安は痛手であることには違いないのですが、他にも厳しい案件があります。円安が二年も続けば、経済破綻するでしょうが、それが早まる可能性のある案件です。

 

その案件とは他でもありません。7月に期限切れとなる通貨スワップ協定です。仮に日本が協定を継続しなければ、それこそ一気に深刻な状態となりかねません。通貨スワップとは、あらかじめ決められた条件に基づいて、将来の一定期間にわたり、キャッシュフローを交換する取引ですから、韓国に潤沢な準備金さえあれば、何も問題ありません。また韓国は、日本が継続に応じないことを見越して中国に働きかけてもいます。

 

余談ですが、朴大統領がこれまでのアメリカ、日本の順に訪問してした慣例を破ってまで訪中を先回しにしたのは、日本への牽制という意味合いもあるのです。

 

さて、中国は韓国の要請に応じると思われますが、韓国には誤算が2つあります。その一つは、中国は日本と違って大きな見返りを求めるということです。先日も触れましたが、歴史上中国(大陸)は韓国から搾取し続け、反対に日本は支援ばかりをしてきました。その日本を恨み続け、中国に靡こうというのですから、韓国の精神構造は理解できません。自ら蟻地獄に落ちるようなものなのですから・・・・。

 

もう一つは、韓国は大きな勘違いをしているということです。中国とスワップ協定を結んでも、信用には繋がらない可能性が高いのです。今日、まがりなりにも韓国がそれなりの経済大国で有り得るのは,日本の御蔭だということを忘れているようですね。戦後の経済支援だけではありません。度重なる経済危機も巨額の資金を供与して韓国を救ったのは日本です。そして、今現在も日本が後ろに控えているからこそ、いつでも異尻拭いをしてくれる日本がいればこそ、世界は安心して韓国に投資しているというのが実態です。世界は、中国が日本の代役を担う、あるいは担えるとは思っていません。中国は日本のように誠実ではないので、いざとなれば、容赦なく韓国を切り捨てると見ているからです。

 

ただでさえ韓国は外資依存が際立っています。。外国投資家の韓国株保有残高は12年末にはGDP比で約32%に上ります。日本の14%の倍以上の比率です。結果、韓国の上場企業全体の時価総額の5割以上が外国人株主で占められている現実があります。

 

外国の投資ファンドなどの投資家は、円安・ウォン高で日本株を買い、韓国企業株を売る傾向があるため、、円安・ウォン高が進めば進むほど、韓国株式市場は不安定になります。

また韓国は、銀行部門でも外資依存度が高く、資本流出が起きやすい状態にあります。つまり、円安が進めば98年のアジア通貨危機のトラウマにうなされることになるのです。

 

加えて、もし日本が今後一切韓国に対して経済支援をしないと宣言すれば(あえて宣言しなくてもスワップ協定を破棄すれば、世界はそのように受け取ります)、それこそ外資は一斉に韓国から撤退するでしょう。年収1億円の保証人がいなくなるのです。誰が、年収200万そこそこの人間に、3,000万円もの住宅ローンを貸すでしょうか。

 

そう言う意味からすれば、韓国は今は瀬戸際に追い込まれています。悪夢が再び現実になりつつあります。最近の関係悪化から、お互いの首脳の訪問ができない状態になっているのはご案内の通りです。このような状況で、韓国は意地でも頭を下げることはしないでしょう。それでも、民主党政権であれば、こちらから『どうそ、スワップ協定を継続して下さい』とこちたから頭を下げるという『離れ業』を演じたでしょうが、安倍政権下ではそれはありえません。

 

日本外しを画策し、中国に擦り寄る朴政権に注目です。たとえ、中国とスワップ協定を結んでも、日本が応じなければ、円安・ウォン高と相まって、韓国は間違いなく経済破綻へと向かいます。橋下市長の慰安婦発言への反応や中央日報の記事は、韓国の焦りが表面化したものとも言えるでしょう。これまで、喚けば喚くほど、日本は韓国に支援してきた事実があります。その経験則から今回も喚けば日本が折れる、金を出すと思い込んでいる節があります。

 

適切なたとえではありませんが、私は老犬を飼っています。以前、このブログでも紹介した『ゴン』です。ゴンは生後まもなくして我が家にやってきて、私が躾ました。今年16歳にもなる老犬で、人間で言えば90歳を超えていることになるのでしょうが、お陰さまで、食欲も旺盛、至って健康です。

ところが、目が悪くなったようで、私の気配を察すると、大声で鳴くようになりました。時間があるときは相手をするのですが、面倒くさいときは『おやつ』を与えて宥めていました。すると、『おやつ』を貰う癖がついてしまい、今では宥めるだけでは鳴き止まず、『おやつ』を与えないと収拾がつかなくなりました。『おやつ』を与えて黙らすことは、躾上は良くないことなのですが、近所にも迷惑が掛かるので、そうしたのです。でも、それでは根本的な解決にはなりません。私はもう一度、一から躾直すつもりでいます。

 

さて、円安による悪影響を被っているのは韓国だけではありません。実は中国も同様なのです。中国元は固定相場ですし、中国の主要輸出製品は韓国ほど日本と重なってはいないので、因果関係は不明なのですが、円安は中国経済の足を引っ張る要因になっている可能性があるのです。それほど、円の動向と中国の経済指標は一致しているのです。

 

リーマンショック後、中国はアメリカや韓国と同様、円の数倍規模で人民元を発行し、2桁成長を保ち、10年には名目GDPで日本を抜き去りましたが、昨年から景気の悪化や不動産市場の低迷で投機資金流入が細り、以前ほどの勢いで元を刷れなくなりました。その間隙を突くように、日銀がいわゆる『異次元緩和』政策に転換したため、円の発行増加度合は中国人民銀行による人民元発行を凌いでしまいました。

 

中国が外資の国外逃避を防ぎ、新たに外貨を呼び込むためには、ドルに対する人民元の小刻みな切り上げを延々と続けるしかありません。中国にとっては苦渋の選択となるのですが、さらに円安とみて日本企業が対中投資から、国内回帰に政策転換すれば、中国景気には一層の下方圧力が掛かるのです。すでに日本だけでなく、諸外国も中国から手を引きはじめているのが現実です。きっかけ尖閣諸島問題に対する反日デモによる日本企業への襲撃・破壊でした。この暴挙によって世界は『中国は信用できない』という認識を再確認したのです。日本に対する憂さ晴らしが高くついてしまった格好です。

 

アベノミクスによる円安政策が自国経済に悪影響を及ぼす韓国と中国は、連携して日本に圧力を掛けようと接近しています。日本の反日マスメディアは、中国や韓国の利益を代弁するように、『日本外し』、『日本孤立化』などと連呼し、日本に政府に妥協するようキャンペーンを張ると思いますが、安倍首相には無視して貰いたいと思います。

 

考えてみれば、歴史的に韓国は長年大陸の影響下にあったわけで、西側陣営に加わったのは戦後の数十年にしか過ぎません。つまり、韓国がかつての中国との主従関係に戻るというのであれば、日本は、

 

『どうそ、両国は日本を敵視して下さい、日本は自国経済の再生策を粛々と実行します』

 

と腹を括れば良いのです。日本の失われた20年の間に、経済力を高めてきた中国と韓国が政治的にも増長し、領土問題や歴史認識で攻勢を強めてきた事実を踏まえれば、ようやく経済的に絶好の機会が日本にやって来たというものでしょう。

 

以前も触れましたが、中国はいずれ遠からずバブルが弾けます。共産党独裁ですから、日本のようなショックはないかもしれませんが、逆にこれまで無理やり押さえつけて来た分だけ、破壊力は日本の比ではないでしょう。どのように対処するか見ものです。私は中国共産党一党独裁が崩壊し、民主国家に生まれ変わることを期待しています。その民主化に向けての支援であれば、日本は手を貸すべきとも考えています。ですが、韓国はどうでしょうか。せめて反日教育を善処してくれれば良いのですが、むろん韓国の内政ですから干渉できません。結局、無視するのが最善と思わざるを得ません。

 




安岡久遠の「どうする日本、どうなる世界」